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相続不動産の売却

一般的な相続手続きの流れ

被相続人が亡くなったことを知ったときから7日以内に、死亡届を提出して埋葬の許可を受けます。その後、葬儀を終えて四十九日を経過した頃に、被相続人の遺産相続手続きを始めるのが一般的です。そこで、被相続人の遺産相続手続きの流れと期限はどのようになっているのか見ていきましょう。

遺言書の確認

民法には、法定相続人が被相続人の相続財産を相続できる順位や割合が定められています。そのため、被相続人の相続手続きも民法の内容にしたがって進めていくのが原則です。しかし、被相続人が遺言で相続人や相続分を指定している場合、遺言書の内容にしたがって相続手続きを進めていかなければなりません。被相続人が遺言書を残しているか否かで、相続手続きの進め方が変わってきてしまうのです。そのようなことから、相続手続きを行うときは、必ず遺言書の有無を確認する必要があります。遺言の種類はいくつかありますが、その中でも公正証書遺言と自筆証書遺言で作成されるケースが多いでしょう。

公正証書遺言とは公証人に作成してもらう遺言書です。一方、自筆証書遺言は遺言者本人の自筆で作成された遺言書になります。公正証書遺言と自筆証書遺言の調査方法を知っておくと、被相続人の遺言書の確認をスムーズに行えるでしょう。

公正証書遺言はどのように調査すればよいのでしょうか。日本公証人連合会の「遺言検索システム」を利用すれば、被相続人が遺言書を残しているか否かを調査することが可能です。遺言検索システムには、公証役場で作成された公正証書遺言書の情報が登録されています。このツールを利用して検索すれば、被相続人が遺言者となっている公正証書遺言書の存在を確認できるのです。

遺言検索システムで検索できる人は決まっています。遺言者が生存している場合、本人のみ検索することが可能です。遺言者がすでに亡くなっているときは、法定相続人または遺言で財産を承継する受遺者が検索できます。法定相続人または受遺者が検索を行うときは、被相続人が亡くなっていることがわかる戸籍、法定相続人や受遺者であることを証明できる書類を提出しなければなりません。後者の具体的な書類は、法定相続人であれば戸籍、受遺者の場合は公正証書遺言書の写しです。さらに、法定相続人または受遺者の身分証明書の写しの提出も求められます。

自筆証書遺言の有無の調査方法は特に決まっているわけではありません。被相続人が自分の財産を保管していると考えられる場所を、しらみつぶしに探す必要があります。自宅の金庫や金融機関の貸金庫に保管されていることが多いので、そのあたりから探してみるとよいでしょう。また、将来遺言相続による土地名義変更や家の名義変更を行う際、遺言書が必要になります。そのため、専門家に預けているケースも少なくありません。

相続人の確定

相続が発生した場合、被相続人の相続財産は、原則法定相続人へ承継されます。そのため、相続手続きを行うためには、法定相続人を確定させる作業が必要になるのです。法定相続人を確定させるには、被相続人の相続関係を調査しなければなりません。法定相続人の調査は、市区町村役場から戸籍を取り寄せて行います。戸籍は、人の身分に関する事項が記載されているため、その内容を確認することで法定相続人が明らかになります。また、戸籍は公的な書類なので、相続関係を外部に証明する際にも利用されることが多いです。各種相続財産の名義変更手続きを行うときは、原則戸籍を提出して相続関係を証明します。

法定相続人の確定を行うためには、被相続人の法定相続人全員を明らかにできる戸籍の収集が必要です。被相続人の相続関係によって、必要な戸籍の種類も違うため、状況に応じて把握しておかなければなりません。まず、被相続人の法定相続人が配偶者と子どものときです。

このケースでは、被相続人の出生から亡くなるまでの期間の戸籍、配偶者と子どもの戸籍が必要になります。出生から亡くなるまでの期間の戸籍が必要なのは、被相続人のすべての子どもを確認しなければならないからです。配偶者と被相続人の親が法定相続人の場合も、被相続人の出生から亡くなるまでの期間の戸籍を集めなければなりません。親は子どもや孫がいないときに被相続人の法定相続人となります。したがって、子どもや孫がいないことを明らかにするために、被相続人の出生から亡くなるまでの期間の戸籍が必要となるのです。

配偶者と被相続人の兄弟姉妹が法定相続人になるときは、必要な戸籍の量が多くなります。具体的には、被相続人とその両親の出生から亡くなるまでの期間の戸籍を集めなければなりません。被相続人の兄弟姉妹全員を確認しなければならないのがその理由です。不動産名義変更を行うときも、被相続人の法定相続人が兄弟姉妹であると、手続きに時間を要することが多くなります。

法定相続財産の調査

遺産相続手続きや相続放棄手続きをするためには、事前に被相続人の相続財産を把握しておく必要があります。相続財産の中に占めるプラスの財産とマイナスの債務の割合によって、遺産相続と相続放棄の選択する基準が変わってくるからです。したがって、遺産相続手続きや相続放棄手続きをする前に、被相続人の相続財産を調査しなければなりません。

被相続人の相続財産の中には、預貯金が含まれていることが大半です。そのため、被相続人名義の預貯金を、どのように調査すればよいのか知っておいたほうがよいでしょう。被相続人の遺品の中に預金通帳があるか否かで、預貯金の調査方法が変わってきます。

預金通帳がある場合は、記帳すればすぐに預貯金額を把握することが可能です。これに対して預金通帳がないときは、まずキャッシュカードを探しましょう。キャッシュカードがあれば、被相続人の取引していた金融機関を特定できます。それにより、被相続人名義の預貯金の調査をすることが可能です。キャッシュカードも見当たらない場合は、被相続人の自宅や勤務先に近い金融機関に問い合わせてみましょう。少し手間がかかりますが、被相続人名義の預貯金を発見できるケースも少なくありません。

生活をするためには家が必要になるので、不動産を所有している人も多いでしょう。被相続人の相続財産の中に、不動産が含まれている場合もめずらしくありません。そのため、預貯金とともに不動産の調査の仕方も頭に入れておきたいところです。遺品の中にあるものから、被相続人名義の不動産を調査できます。不動産の所有者は毎年、固定資産税を納めなければなりません。したがって、被相続人が生前に不動産を所有していれば、市区町村役場から固定資産税の納税通知書が届いているはずです。

固定資産税の納税通知書には、不動産の所有者の住所や氏名、物件の評価額や情報が記載されているので、その内容を見るだけで特定できます。また、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取り寄せたり、市区町村役場で固定資産評価証明書や名寄帳を取得したりして、被相続人名義の不動産を調査することも可能です。

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